症例紹介2  ~写真で見る手術への取組~

当院保有の医療機器を用いた診療等を、紹介します。

看護日誌:胃内異物

昨日から食前・食後に関係なく嘔吐し、食事をまったくしなくなり、元気もないと来院された「そらちゃん」。体重も、元気な頃より500gも減ってしまい、熱が40℃もあるため、入院して点滴をすることとなりました。

x月1日

今日は、バリウムで消化管造影をしてみることになりました。

検査の結果、お腹の中に何かあるのでは?とのことで、明日は開腹の手術です。

x月2日(手術日)

開腹した結果、小腸の中に異物が入っていた為、腸を切開して異物を取り出しました。

x月4日(午後)

術後からずっと絶食の指示をうけていた「そらちゃん」は、今日からやっと、水をすこしずつ飲めることになりました。ひと口飲んだだけでしたが、嘔吐もなく順調です。

x月5日

今日は、お腹にやさしい食事(病院食)を少しずつ食べることができます。
まずは、大さじ一杯をつぶしてお湯をいれ、おかゆ状にして「そらちゃん」の食事をつくりました。まってましたとばかりにペロリとたいらげてしまいました。食後も嘔吐はなく順調です。

x月6日

今日は、量を増やして、お湯を入れずに大さじ4杯を細かく砕いた食事を作りました。
食欲旺盛の「そらちゃん」は、残さず食べてしまいました。腸も順調に動き出し、下痢状ではありましたが、お通じがありました。

x月7日

7日間入院した「そらちゃん」は、すっかり元気になりました。
「よくがんばったね!!」
本日めでたく退院できることになりました。でも、油断は禁物です。
しばらくは病院食を続けてもらうことになります。今後の注意事項をお話して、元気に帰っていかれました。

トップへ

看護日誌:門脈シャント

とても小柄なロザリーちゃんは、門脈-体循環シャントという病気でした。
門脈-体循環シャントとは…肝臓に流入する門脈という血管と他の血管〔後大動脈や奇静脈など〕が吻合している為に、肝臓が充分に発育できず、体内の毒素を無毒化できない病気です。毒素が脳に入ると肝性脳症という発作を起こします。この病気を治すには、血液が全て肝臓に正しく流れるように血管の手術を行います。

x月9日

手術前日、午前中から入院し、点滴と最後の術前検査が行われました。

x月10日(PM1:00)

手術開始です。がんばれ!ロザリーちゃん!!

x月10日(PM2:00)

門脈造影検査によりシャント血管の場所が分かりました。

慎重にシャント血管をしばり、肝臓に正しく血液が入っていくのを確認しました。

x月10日(PM5:00)

約3時間半に及ぶ手術は無事に終了しました。しかしまだまだ気は抜けません。ここからは24時間体制で10分毎にモニターチェック(心拍数・体温・血圧)が必要なのです。
手術後下がっている体温を、保温マットと湯たんぽで温めます。

x月11日(AM0:00)

やや軟便ですが大きな便が出ました。背中をなでてあげると気持ちよさそうに目を細めて2・3回軽くのびをします。でもお腹は痛そうです。
「大丈夫だよ、ゆっくり休もうね」

x月11日(PM5:00)

汚れたペットシーツを換える為に身体を動かすと、痛がって鳴きました。お腹は少し張っていますが、順調に回復してきています。夕方からは栄養食も少しずつ舐められるようになりました。

x月12日

朝から缶詰を小さじ2杯ずつ、2・3時間おきに与えると、きれいに食べてくれました。とても順調です。

x月13日

今日も食欲があるので、夜に退院できる事になりました。
「良かったねロザリーちゃん!!」すでに1歳を過ぎているので、骨格はあまり変わらないでしょうが、活発に動く姿を見せてくれるのを楽しみにしています。

トップへ

看護日誌:脊椎脱臼

X月のある日、飼主さんより「ケンタが行方不明に」との連絡がはいる。その2日後、飼主さんから「ケンタが見つかりました!でも後肢が折れているみたい」ということで、至急来院してもらいました。
16Kgあった体重が14.5Kgに減っており、軽度の外傷もみられました。肢自体は折れていないようでしたが、軽度の麻痺がみられました。早速、レントゲンと血液検査を行い、点滴のため留置を確保して入院となりました。血液検査の結果、交通事故により肝臓の数値が高くなっていましたが、特に大きな問題はありませんでした。レントゲンでは、内臓には問題がなかったのですが、脊椎の脱臼がみられました。ケンタちゃんは脊椎脱臼のため、肢がマヒ状態になり、上手く肢を動かせなかったのです。それをみた飼主さんは、折れていると思われたのでしょう。

入院2日目

食欲は完全ではありませんが食べてくれました。
脊椎が脱臼しているため、移動するときは特に慎重にしないと神経を傷つけてしまいます。

手術当日

手術はプレートを腰椎の両側に固定して、腰椎を整復する手術でした。

ケンタちゃんはまだ6才と若いですが、4時間半という長時間の手術ですので、かなりの負担がかかっていると思います。
明日の状態が心配です。

手術翌日

手術はプレートを腰椎の両側に固定して、腰椎を整復する手術でした。

手術後3日目

痛みが少し和らいだようで、横座りしたり、少し動けるようになりました。便もいい状態のものがでました。
いつもニコニコ顔のケンタちゃんですが、おしっこを出すために、お腹を圧迫する時だけは、とても嫌な顔をします。

手術後5日目

少しではあるが、後肢が立つようになりました。とても順調です。

手術後7日目

ケージの扉を開けると「出てもいいの?」と確認するかのように身体を乗り出しキョロキョロしてこちらを見ます。
「ケンちゃん」と呼ぶと、ケージから出てきて入院室内を歩きました。

手術後13日目

今日からリハビリ開始。
今までは、短い距離しか歩けなかったけど、今日からは院内を歩けるようになったので「凄いでしょ」と言わんばかりの勢いで玄関まで歩きました。玄関まで来るとずっと外を眺めていました。入院室に戻る時は、なかなか歩こうとしません。そんな時は皆で、「ケンちゃんすごいね」「歩けるね」「がんばるのよ」などとおだてては、ケンちゃんのやる気を出させます。それでもダメな時は、ご飯でつってみます。

手術後17日目

立った!たって歩いた!!!!!

手術後20日目:退院の日

今日は、朝一番でお父さんとお母さんが迎えにみえました。
ケンタちゃんは二人の姿が見えるやいなや、しっぽを振って「早く!早く!」という感じで、お家に帰れるのを喜んでいました。

退院から10日後

元気そうでした。
家でも少しずつリハビリをしてもらい、来月上旬に来院してもらうことになりました。

退院から30日後(手術後50日目)

スタッフ一同「すご~い!」
車から降りると見違えるようにリズミカルに歩いていました。飼主さんは「少し前までは、しっぽを持ち上げないと自分でも歩けなかった。」とおっしゃっていました。この調子だと、事故に遭う前のように歩ける日も近そうですね。 よくがんばりましたね、良かったねケンちゃん!!

トップへ

症例:膝蓋骨内方脱臼 整復術

小型犬に多い膝蓋骨脱臼の手術の流れをご紹介します。

施術過程1

01:このレントゲンでは右側膝蓋骨内方脱臼が見られます。この症例のグレードはⅢで、合併症として頸骨の弯曲も始まっています。また、左側の大腿骨頭の変形も見られます。レッグ・カルベ・ペルテス病と思われ、いつかは手術対象になると思われますが今回は行いません。

施術過程2・3・4

02:麻酔科で毛刈りを行い、滅菌フィルムを貼り手術の準備完了です。
03:皮膚を切開します。
04:筋膜、関節包を切開し、膝蓋骨がはまっている滑車溝を露出します。

施術過程5・6・7

05:この滑車溝が浅くなっているのが脱臼の一つの要因ですので、溝を深くする手術を行います。まずは溝の表面の骨を外すためにノコギリで表面を切ります。
06:ブロック状に骨表面を切りとりました。
07:溝を深くするために、切り取った骨の下を削ります。

施術過程8・9・10

08:切り取った骨表面を戻します。
09:頸骨が弯曲しているため、膝蓋骨が内方へ牽引されます。その修復のために膝蓋骨の靱帯が付着している頸骨祖面を切り離します。
10:切り離した部分を外方へ移動させます。これで膝蓋骨が内方へ牽引されなくなります。

施術過程11・12

11・12:移動した部位に骨を癒合させるために下方の骨を削り、ピンで留めます。

施術過程13

13:留め終わったところです。これで脱臼の整復が完了しました。

施術過程14・15・16

14:関節包を縫合します。
15:関節包を縫合します。
16:皮膚を縫合します。

施術過程17

17:ロバートジョーンズ包帯(膝関節の動きを保護します)を巻きます。

施術過程18

18:術後のレントゲン写真です。膝蓋骨脱臼が整復され頸骨の弯曲も軽減しています。

トップへ

夜間動物緊急診療所

トップへ